こいのぼりのように、鯉のように
5月と言えば、やっぱりこいのぼりということで、子どもたちも手作りのこいのぼりに目を書き入れたりしていました。
江戸時代の武家から始まったと聞けばなるほどなと思います。大空を泳ぐ勇壮な姿は武士たちにとって浩然の気を搔き立てるよすがとなったに違いありません。
また中国には、いろいろな魚が黄河の急流を上ろうとしましたが鯉だけが上ることが出来たという故事があるそうです。難しい関門を突破したときに使う登竜門という言葉の始まりだとされています。
必死に滝を上ろうとする姿に克己奮励を旨とする武士道に重なるものを感じたのだと思います。
ところで、鯉といえば、ウォーキングコースの途中に、勝手に名付けている魚見橋という小さな橋があります。そこに着くとしばらく立ち止まって鯉を観察することにしています。
晴天が続くと水量が減って1メートルほどの堰が姿を現します。時には丸々と太った数匹の鯉が現れて、体をくねらせ流れに逆らって堰を超えようとるのを見ることがあります。
残念ながら一度も成功したのを見たことはありませんが…。それでも、小さな堰とはいえあえて乗り越えようとするその気力にいつも感心します。
戦乱のない平和な江戸時代だったとはいえ、剣術が武士の魂みたいなものだったとすれば、大空を泳ぐ姿といい、鯉の滝登りといい「これぞ武士の鑑」と思えたのでしょう。
ともあれ、ロシアの侵攻はやむことはなく、幼児も犠牲になっています。子どもたちにも平和の尊さを伝えながら、風に身を任せて泳ぐこいのぼりや、流れに立ち向かって上流を目指す鯉の話しをして上げてはいかがでしょうか。
こいのぼりや本当の鯉に負けない強い心で一生懸命オシゴトに励む五月であってほしいと思います。(こ)